※当サイトには広告リンクが含まれています。
同庁は2011事務年度(11年7月〜12年6月)の検査方針に、住宅ローンに関するリスク管理体制を重点的に点検することを盛った。このほど本格検査に着手した。
主に点検するのは、引当金計上の根拠となる貸倒率の査定方法。銀行界では過去3年程度の実績に基づいて将来の貸倒率を予測する方式が主流。この方式では融資から10〜15年後に貸し倒れが増える住宅ローンのリスク特性を十分に反映できないとされる。金融庁はリスク管理の甘い銀行に査定方式見直しや引当金の積み増しなどを求める。
日銀によると、住宅ローンの貸倒率(09年度)は約0.4%。07年度の0.03%から急上昇した。一方、競争による金利低下で銀行の採算は悪化している。日銀によれば10年度の大手銀行の住宅ローンの利ざやは0.1%、地域銀行で0.5%。銀行によっては逆ざやに陥りかねない。
<編集部からのコメント>
銀行の住宅ローン競争が日に日に激しさを増しておりますね。市場の金利自体は10年以上、ずっと低いままですが、その中で住宅ローン金利が下がってきたのは、銀行が利ざやを削り続けているということではないかと思います。
こうした金利競争は主にネット銀行が主導してきましたが、最近ではついにメガバンクも大幅に金利を引き下げてきましたね。もちろん住宅ローンの利用者や、これから住宅ローンを利用したいと思っている人にとっては追い風と言える動きです。
そんな熾烈さを増す住宅ローン競争ですが、気になる報道が上記の通りなされておりまして、引用しますと「金融庁は全国の銀行を対象に住宅ローンに照準を絞った検査に乗り出した。」ということで、その目的は「貸し倒れが増えるなかで、過度な低金利競争を抑制する狙い。」とのことであります。
背景としては記事にも記載されている通り、住宅ローンの貸倒率(09年度)は約0.4%と、07年度の0.03%から急上昇している一方で、10年度の大手銀行の住宅ローンの利ざやは0.1%、地域銀行で0.5%ということで、銀行によっては「逆ざや」になっている懸念がある、ということですね。
思い起こせば、2009年度はリーマンショック直後の「100年に一度の金融危機」が世界経済を襲い、多くの企業が大幅な赤字に陥った時期です。あの最悪な経済状況の中でも貸し倒れ率が約0.4%におさまっていたのだとすると、やはり日本人というのは勤勉で真面目なのでしょうね。
件のリーマンショックの引き金となったアメリカのサブプライムローンの貸し倒れ率は数十パーセントだったと思います。ローンの質が全く違うとは言え、2桁も異なるというのはやはり商品性だけでなく、国民性もあるのでしょうね。
と、本題から逸れた感想を持ってしまいますが、日本の住宅ローンの問題は上記の通り、激しい住宅ローン競争により、大手銀行に至っては利ざやが0.1%しかない、ということですね。そうなると単純計算すれば貸し倒れ率である0.4%を全くカバーできません。貸せば貸すほど赤字となります。
実際には住宅ローンの場合、担保がありますので、物件を売却すればかなりの部分が回収できますが、それでも全額回収は難しいとすると、やはり「逆ざや」の可能性は考えられます。
住宅ローンを利用する人からすれば、言葉通り「出血大サービス」なわけですから、ありがたい話と言えますが、上記の通り、仮に金融庁が今後、締め付けを厳しくしてくるのだとすれば、今後以下のような影響が出てくる可能性があります。
・住宅ローン金利が上昇する
・審査が厳しくなる
・担保評価が厳しくなる
・もっと頭金が必要となる
特に金利が低い住宅ローンほどこうした影響が強く現れるのと思われます・・・。激化する住宅ローン競争の中で、住宅ローン金利が上昇することは考えにくいとすると・・・やはり審査が厳しくなる方へ動いていくのでしょうね。
これから住宅ローンを利用したり、借り換えを検討されている方はご留意ください。転ばぬ先の杖としては、やはり複数の銀行に申し込む、ということでしょうか。